最近の研究において麻痺上肢機能の指標として運動調整機能が使用されているのが散見されます.今回紹介するのは,発症6か月までの麻痺上肢の運動調整能力の回復を三次元解析にて調査した縦断的コホート研究です.
タイトル「脳卒中後の麻痺上肢の運動調整機能の質に関する時間の影響」
対象:初発の不全片麻痺で発症3週間以内に握り動作が可能な44例(58±12歳)
方法:発症1,2,3,4,5,8,12,26週の時期に前方にある5cm3の立方体へのリーチと握りと立方体の移動に対する三次元解析にて運動時間,運動軌跡(リーチと手指の開口)の円滑さを測定した.
結果,発症5週目まで有意に運動時間,運動軌跡の質ともに改善した.神経学的自然回復によって不全麻痺上肢の運動調整能力は,発症8週までに回復することが示された.
発症3週目までに対象物を把持できれば,対象へのリーチや把持の仕方の質は発症5週間まで自然回復していく.もし,運動軌跡をリハビリテーションに取り入れることができたなら自然回復曲線を早めることができるのか.8週以降も回復曲線を描くことができるのか.回復期での機能訓練方法開発のヒントとなりそうですね.
van Kordelaar J, van Wegen E, Kwakkel G. (2014) Impact of time on quality of motor control of the paretic upper limb after stroke. Arch Phys Med Rehabil. 95 (2):338-44.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24161273
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